相続人って誰がなれるの?
相続人の範囲と法定相続分について

相続人の範囲・誰がなれるのか

 

身内や近い親戚が亡くなった時、相続について調べる人も多いかと思います。

相続の世界では「相続人」とか「被相続人」とかいう単語が出てきますが、相続人と被相続人はどちらが相続を受ける人で、どちらがお亡くなりになった人なのかという事を分からない人も多いと思います。

また、親戚の叔父さんが亡くなった場合「自分は相続人になるのかな。。。」等、具体的に相続そのものに精通している人は少ないかと思います。

なので、今回の記事では相続人になれる人・なれない人を中心に相続の基本である、相続人の範囲について勉強していきましょう。

そもそも相続とは

相続とは、原則として人の死亡により、その死亡した者(=被相続人)にかかる権利義務をその者の相続人が継承することを意味しており、民法においても相続の一般的効力について規定されています。

 

民法896条

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を継承する。

 

このように民法では、相続とは被相続人に係る権利義務を相続開始とともに承継させることであると規定されているため、相続開始の時すなわち被相続人が亡くなった時から、被相続人の権利義務が承継されるものと規定されています。

なお、権利義務の承継時点は相続開始時点であり、遺産分割協議の成立したタイミングとは無関係であるため、この点には注意が必要です。

 

相続人になれる人とは

それでは次に被相続人亡き後、誰が相続人になれるのかを確認していきましょう。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、被相続人の親族であるならば、誰でも相続人になれるというわけではなく、民法の規定により相続人の地位に就くことが出来る人やその相続順位が定められています。

なお、配偶者は常に相続人になりますが、配偶者が先に死亡している場合や離婚したような場合、子供がいる場合いない場合で相続順位が変わってきますので以下で確認しましょう。

相続人と相続順位

まずは配偶者がいる場合の相続人と相続順位を確認します。

 

相続順位 相続人となる人
第1順位 配偶者とその子供(代襲相続人を含む)
第2順位 配偶者と直系尊属
第3順位 配偶者と兄弟姉妹(一代限りの代襲相続人を含む)

 

ごらんのとおり、如何なる場合においても配偶者がいる場合には配偶者は常に相続人となります。
なお、代襲相続人とは、被相続人の相続開始以前に被相続人の子または被相続人の兄弟姉妹が既に死亡している場合等に、本来、相続人となるべきであった者に代わって相続人となった人の事を言います。

 

次に「相続順位」について解説していきます。

 

相続順位は言い方を変えると、あなたが相続人に該当するかどうかを判断するためのフローチャートになります。

どういう事かというと、たとえばあなたが被相続人と兄弟である場合を想定して考えてみましょう。

 

まず、被相続人である兄弟に子供がいた場合には、子供は第1順位に該当するため、子供が相続人となりますので、あなたには相続権はないことになります。

 

また、仮に子供がいなかった場合であっても、あなたの親もしくは祖父母(=直系尊属)の誰かがご健在であれば、親もしくは祖父母が第2順位に該当するため、この場合もあなたに相続権はないことになります。

 

逆に、被相続人である兄弟に子供がおらず、あなたのご両親等が既に死亡している場合には、第3順位としてあなたに相続権が発生するという仕組みになっています。

 

今回の例をイメージ化すると以下の通りとなります。

 

相続順位の判定

 

 

相続人の相続分(法定相続分)

相続順位により相続人が判明した後は、各相続人の取分を決めます。

取分については、被相続人の遺言があれば遺言書に従って分配しますし、遺言書がない場合には相続人どうしの遺産分割協議で自由に分配することも出来ます。

遺産は、遺産分割協議で自由に取分を決めることが出来ますが、大まかな財産分与の目安として、各相続人の承継割合が民法において規定されており、この財産割合のことを法定相続分といいます。
(※法定相続分は相続税の計算や、遺留分の計算をする際に重要な概念となりますが、ここでは「遺産は法定相続分を目安に分配割合を決める」と考えてください。)

 

以下のとおり法定相続分は、相続順位により配分割合が変わってきます(相続順位が下位になればなるほど配偶者の取分が多くなるように設計されています)。

 

相続順位 法定相続人 法定相続分
第1順位 配偶者 1/2
子(全員の合計) 1/2
第2順位 配偶者 2/3
直系尊属(全員の合計) 1/3
第3順位 配偶者 3/4
兄弟姉妹(全員の合計) 1/4

なお、代襲相続人が相続人となる場合には、本来相続人になるべきであった人(既死亡者)の相続分を承継することになります。

 

ここで少し頭の体操をしてみましょう。

 

下記の例では、被相続人である長男には子供と配偶者がいません。また両親も既に死亡しております。
兄弟関係については、次男が既に亡くなっており、姉は健在です。
次男・姉ともにそれぞれ子供がいます。

 

この場合は誰が相続人となるでしょうか。

 

第3順位の場合の具体例

上記の例では被相続人である長男には子供と配偶者がおらず、両親も既に死亡しているため、相続順位は第3順位となり兄弟姉妹に相続権が発生します。

ただし、弟である次男が既に死亡しているため、次男の子が代襲相続人として財産を承継する権利を得ます。

なお、次男の妻は法定相続人にはなり得ないので、相続権はありません。

そのため、この場合の法定相続人は長男の姉次男の子という事になります。

第3順位の相続権

 

では、この場合の法定相続人はどうでしょうか。

 

第3順位応用

この場合も被相続人である長男には子供と配偶者がおらず、両親も既に死亡しているため、相続順位は第3順位である兄弟姉妹(姉と代襲相続人である次男の子)に相続権が発生します。

 

ただし、今回の場合は次男だけでなく、次男の子も既に死亡しております。

 

あまり見かけないパターンだと思いますが、代襲相続の法則に従って、次男の孫にも相続権は発生するでしょうか。

 

答えはNoです。

 

兄弟姉妹の代襲は1代限りとするという規定があるため、今回のケースでいうと次男の孫には相続権は発生せず、長男の相続財産は姉のものとなります。

 

第3順位の応用解答

 

上記はかなり極端な例とはなりますが、いずれにしても、相続人はこのような段階を経て決められています。

 

ところが、この段階を経て相続人の地位があると判断されても、実際には相続人にはなれない場合もありますので、次の章では相続人になれない場合をみていきましょう。

 

相続人になれない場合

相続人になれない場合は、相続人の置かれている状態により異なりますので、具体的な例をそれぞれ見ていきましょう。

相続欠格に当てはまる場合

相続欠格とは、一定の事由がある場合に相続人から除外される制度で民法で規定されています。

 

分かりやすくいうと、「こんな人に相続させるなんてとんでもない!」というような人が相続欠格に該当し、裁判などの手続きを要せず当然にして相続する権利を失います。

 

【相続欠格該当事由】

1.故意に被相続人、自分以外の相続人を死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられた者

2.被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴、告発をしなかった者

3.詐欺や強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者

4.詐欺や強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者

5.相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者

 

以上のように小難しく記載してしまいましたが、要は「こんな人に相続させるなんてとんでもない!」という人が相続欠格に該当し、相続人の資格がはく奪されることになります。

 

相続人廃除に当てはまる場合

相続人廃除とは、将来相続人になり得る人(=推定相続人という)のうち被相続人が相続人から廃除したいと考えている場合に以下の請求をすることにより、相続人から廃除することが出来ます。

①自ら家庭裁判所に廃除の請求をした場合(生前廃除)

②遺言でその推定相続人を廃除する旨の内容を残し、遺言執行者が家庭裁判所に廃除を申請した場合(遺言廃除)

なお、相続人廃除は、相続人に遺留分がある場合に遺留分ごと剥奪する制度となりますので、遺留分がない兄弟姉妹は相続人廃除には当てはまりません。

相続人廃除該当事由は以下の通りです。

 

【相続人廃除該当事由】

1.被相続人に対する虐待

2.被相続人に対する重大な侮辱

3.その他著しい非行

 

要するに生前から被相続人に対してぞんざいな扱いをしてしまったばかりに、被相続人から恨みを買ってしまった人が、相続廃除になる得る可能性があると言えます。

 

なお、相続欠格と相続廃除はともに特定の人物の相続人としての権利を剥奪するという点において共通しておりますが、それぞれの要件事由や手続きは異なりますので、以下で確認しておきましょう。

 

相続欠格と相続廃除の違い

最初に説明した「欠格」については、欠格事由に該当した場合に必然的に相続権を失いますが、「廃除」については、家庭裁判所により推定相続人廃除の審判が確定した場合に、相続権を失うという点で両者は異なります。

 

なお、両者の制度的な違いは以下の通りです。

  相続欠格 推定相続人の廃除
被相続人の意思 不要 必要
家庭裁判所の審判 不要 必要

 

相続権を放棄した場合

相続放棄とは、被相続人の財産に対する一切の相続権を放棄することをいいます。

対象となるのは被相続人の全ての財産であり、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も全て含まれます。

なお、相続放棄については、被相続人の相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申請する必要があります。

法定相続人でなくても財産を受取ることが出来る場合とは

原則として被相続人の財産を相続出来るのは、法定相続人となります。

しかし、法定相続人以外の人(愛人とか)にも財産を残したいと考えた場合、被相続人は遺言書に「特定の××に財産を遺贈する」旨の記述を残すことにより、その人に財産を相続させることが可能となります。

ただし、被相続人の財産を相続出来るのは法定相続人に限定されるため、法定相続人以外の人に財産を承継させる場合は、遺言書には「相続させる」ではなく、「遺贈する」と記述する必要があります。

なお、遺言書がない場合に法定相続人以外に財産を承継させたい場合には、①まずは法定相続人が財産を相続した上で、②その者に財産を贈与すれば、法定相続人以外でも被相続人の財産を受取る事が可能となります。

 

この場合①で相続税が発生し、②で贈与税が発生する可能性があることは肝に銘じる必要があります。

まとめ

いかがでしょうか。

本日は、相続人の範囲と法定相続分について詳しく記載しましたが、相続順位については色々と複雑な面もあったと思います。

また、せっかく相続人になれる権利があったとしても、その権利を剥奪される可能性がある事もしっかり覚えていただきたいです。

加えて、法定相続人以外に財産を承継させる際には、基本的には「遺言書」がなければ財産を承継させることが出来ない事も理解出来たと思います。

制度が複雑で理解に時間が掛かるとは思いますが、一緒に勉強していきましょう。

本日もお忙しいところお読みいただきありがとうございます!