事業計画書は1枚でいい|起業前に押さえる「5つの数字」の作り方
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事業計画書は1枚でいい|起業前に押さえる「5つの数字」の作り方

⚠️ 起業したいけれど、数字は苦手…という方へ

「事業計画書って、何十ページも書かないといけないんでしょう?」
──そう思って、計画づくりを後回しにしていませんか?

結論から申し上げます。起業前にまず押さえるべき数字は、たった5つ。A4用紙1枚に収まります。

一方で、日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」によると、開業前に予想していた月商に届いていない人は約4割(41.3%)。売上の見込みを「こうなったらいいな」で置いてしまうと、計画と現実のズレがそのまま資金不足につながります。

この記事では、起業アイデアを「顧客数×単価×購入頻度」から必要資金まで、1枚のミニ事業計画書に落とし込む方法を、コーヒースタンド開業の具体例で解説します。

起業の事業計画の作り方|1枚のミニ事業計画書


1. 起業の事業計画は「1枚・5つの数字」から始めればいい

事業計画書というと、市場分析や競合比較が並ぶ分厚い資料を思い浮かべるかもしれません。もちろん融資の申込みなどでは詳しい資料も必要になりますが、最初に確かめるべきなのは「このアイデアで、お金が回るか」だけです。

そのために必要なのは、売上・粗利・固定費・利益・必要資金の5つの数字。これを1枚に並べるだけで、「月にいくら売れば生活できるのか」「開業にいくら用意すべきか」が見えてきます。


2. ミニ事業計画書に入れる5つの数字と作り方

上から順に埋めていけば、自然と計画ができあがります。金額はすべて「月あたり」で考えるのがコツです。

数字 計算式・考え方
① 売上 顧客数 × 単価 × 購入頻度
※「月100万円売る」ではなく、何人が・いくらで・月何回買うかに分解する
② 粗利 売上 − 原価(仕入れ・材料費など、売るほど増える費用)
③ 固定費 家賃・人件費・通信費など、売上がゼロでも毎月かかる費用。自分の生活費も入れる
④ 利益 粗利 − 固定費。ここがマイナスなら、アイデアか数字を見直す
⑤ 必要資金 設備資金 + 運転資金(売上が軌道に乗るまでの固定費3か月分程度)

粗利(あらり)とは:
売上から、商品の仕入れや材料費など「売るたびにかかる費用(原価)」を差し引いた金額。家賃や人件費などの固定費は、この粗利から支払うことになる。


3. 【具体例】コーヒースタンドの開業を1枚にしてみる

【前提】

Aさんは、駅近の小さな物件でテイクアウト中心のコーヒースタンドを開きたいと考えています。通勤客の常連づくりを狙い、客単価は600円、原価率は30%を想定しています。

まずは①〜④、月あたりの売上と利益です。

項目 金額(月)と内訳
① 売上 90万円=500人 × 600円 × 月3回
② 粗利 63万円=90万円 − 原価27万円(30%)
③ 固定費 55万円=家賃12万円+アルバイト10万円+水道光熱・通信4万円+消耗品・広告など4万円+自分の生活費25万円
④ 利益 8万円=63万円 − 55万円

続いて⑤、開業時に必要な資金とその調達方法です。

必要な資金 調達方法
設備資金(内装・エスプレッソマシンなど)350万円
物件取得費(保証金・仲介手数料など)85万円
運転資金(固定費55万円×3か月)165万円
自己資金 200万円
借入 400万円
合計 600万円 合計 600万円

これで1枚は完成です。さらに「固定費 ÷ 粗利率」(粗利率=粗利÷売上)を計算すると、赤字にならない最低ラインの売上(損益分岐点)がわかります。この例では55万円 ÷ 70% = 約79万円。顧客数でいえば約440人で、想定の500人から1割強減るだけで赤字になる計画だと分かります。

※わかりやすさのため、減価償却費・支払利息・税金は省略しています。


4. 数字が苦手な人がつまずく3つのポイント

① 顧客数を「希望」で置いてしまう

「500人」の根拠を説明できるかが分かれ目です。店の前の人通り、席数×回転数、SNSのフォロワーや前職からの見込み客など、数えられるものから積み上げましょう。あわせて「顧客が2割減ったら?」も試算します。この例では400人で売上72万円、月4.6万円の赤字です。

② 自分の生活費を固定費に入れ忘れる

個人事業主の生活費は経費にはなりませんが、毎月必ず出ていくお金です。これを入れずに「利益が出る」と判断すると、事業は黒字なのに生活が回らない状態になります。

③ 借入の返済は「経費」にならない

借入金の元金返済は経費ではなく、利益の中から返すものです。400万円を7年で返すと月約4.8万円。利益8万円から返済すると、手元に残るのは月3万円ほどしかありません。


5. 起業の事業計画に関するよくある質問(FAQ)

Q. 創業融資を受けるときも、この1枚で足りますか?

A. 単体では足りませんが、そのまま土台になります。
日本政策金融公庫の「創業計画書」にある「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」の欄は、この1枚とほぼ同じ構成です。数字の根拠を説明できるようにしておけば、申込書類づくりがぐっと楽になります。

Q. 個人事業で始める場合と、会社を設立する場合で考え方は変わりますか?

A. 基本は同じですが、法人は固定費が膨らみやすくなります。
会社の場合、自分の生活費は「役員報酬」として固定費に入り、社会保険料の会社負担分も加わります。同じアイデアでも損益分岐点が上がるため、設立前に両方のパターンで試算しておくと安心です。

6. まとめ:まず1枚、数字にしてみる

起業アイデアを形にする第一歩は、分厚い事業計画書ではなく、売上(顧客数×単価×購入頻度)・粗利・固定費・利益・必要資金の5つを1枚に並べることです。

会計事務所として創業のご相談を受けていると、計画の良し悪しを分けるのは数字の細かさではなく、「その数字の根拠を、自分の言葉で説明できるか」だと感じます。うまく埋まらない欄があれば、それこそが開業前に詰めるべき課題です。

※本記事は2026年10月執筆時点の一般的な解説です。具体例の金額は説明用の仮の数字です。実際の計画づくりや融資の申込みにあたっては、個別の状況に応じて専門家にご相談ください。


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