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その家賃、経費にできていますか?一人会社が見落とす「役員社宅」の壁

⚠️ 自宅を法人契約に変えずに家賃を経費にしている一人会社の社長へ

「自宅を事務所にしているから、家賃は当然経費になるはず」
──そう思っていませんか?

結論から申し上げます。賃貸借契約が社長個人名義のままでは、その家賃は1円も法人の経費になりません。それどころか、処理を誤ると社長個人への「給与」とみなされ、追加の所得税や社会保険料が発生することもあります。

一方で、正しい手順(役員社宅の制度)を使えば、自宅兼事務所の家賃の多くを合法的に法人の経費にしつつ、社長個人の税負担も抑えることが可能です。この記事では、一人会社の社長が自宅兼事務所の家賃を経費化するための考え方と、実務上の注意点を解説します。

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法人が家賃を経費にできる仕組み:「役員社宅」という考え方

法人が家賃を経費にするための第一歩は、賃貸借契約を法人名義に変更することです。契約者が社長個人のままでは、法人が家賃を負担していても「地代家賃」として損金算入する前提条件を満たしません。

契約を法人名義に切り替えたうえで活用するのが「役員社宅」の制度です。法人が大家さんへ家賃を全額支払い、経費として計上したうえで、社長個人からは一定額(賃貸料相当額)を法人へ支払ってもらう、という仕組みです。

賃貸料相当額とは:
国税庁が定める算式に基づいて計算する、社宅を使用する対価として社長個人が最低限負担すべき家賃額のこと。実際の家賃より低く設定できるケースが多く、その差額が実質的な節税メリットになる。

つまり「家賃を全額タダにする」制度ではなく、「一定のルールに沿って会社と個人で家賃を分担する」制度だという理解が出発点になります。


経費にできる金額は「家賃全額」ではない

最も多い誤解が「役員社宅にすれば家賃が丸ごと会社の経費になり、社長個人の負担はゼロになる」というものです。実際には、賃貸料相当額に満たない金額しか社長が負担していない場合、その差額は「給与(現物給与)」とみなされ、社長個人の所得税・住民税の対象になります。

賃貸料相当額の計算方法は、住宅の規模によって異なります。目安は次のとおりです(執筆時点の取り扱いであり、詳細は個別に確認が必要です)。

住宅区分 考え方の目安
小規模住宅
(床面積おおむね132㎡以下 等)
固定資産税の課税標準額をもとにした算式で計算。実際の家賃相場よりかなり低い金額になることが多い。
小規模住宅以外 家賃(支払家賃)の50%相当額、または固定資産税評価額をもとにした算式のいずれか高い方など、別の基準で計算。

どちらに該当するかで負担額の目安が大きく変わるため、契約前に必ず確認しておきたいポイントです。


一人会社が自宅兼事務所を法人経費にする具体的な手順

一人会社であっても、次のステップを踏むことで自宅兼事務所の家賃を適正に経費化できます。

賃貸借契約を個人名義から法人名義へ変更する

大家さんや管理会社の承諾を得たうえで契約者を法人に変更(または再契約)します。個人契約のままでは、そもそも法人経費化の要件を満たしません。

社宅規程・使用契約書を整備する

社内規程として「役員社宅規程」を作成し、賃貸料相当額の算定根拠や徴収方法を書面で残しておきます。

賃貸料相当額を計算し、毎月徴収する

計算した金額を役員報酬から天引きする、または個人口座から法人口座へ毎月振り込むなど、実際に資金移動の記録が残る形で徴収します。

法人口座から家賃を支払う体制に切り替える

大家さんへの家賃振込を法人口座からの支払いに統一し、会計帳簿上も「地代家賃」として法人の経費に計上します。


やりがちな失敗:個人事業主の感覚のまま処理してしまうケース

契約名義を変えずに全額を法人の経費にしてしまう

個人事業主時代の感覚のまま、契約者を変更せずに法人口座から家賃を支払ってしまうケースです。契約者が社長個人である以上、その支払いは経費ではなく「役員への貸付」や「社長個人への費用の肩代わり」とみなされるリスクがあります。

賃貸料相当額を徴収せず「無償貸与」にしてしまう

「自分の会社だから」と、社長個人からの家賃負担を一切設定しないケースです。この場合、家賃相当額がまるごと給与として扱われ、思わぬ税負担増につながります。

個人事業主の「自宅按分」の感覚を法人にも当てはめてしまう

個人事業主が使う「事業使用割合で家賃を按分する」方法と、法人の役員社宅制度はまったく別のルールです。法人成りした後も按分計算をそのまま流用してしまう例が見られますが、賃貸料相当額の考え方に沿った計算に切り替える必要があります。

【見落としがちな注意点】

賃貸料相当額を徴収せず給与扱いになった場合、所得税だけでなく社会保険料の算定基礎(標準報酬月額)にも影響する可能性があります。想定より年間コストが膨らむ原因になりやすいため、事前の設計が重要です。


自宅兼事務所の家賃経費化に関するよくある質問(FAQ)

Q. 賃貸借契約を法人名義に変更するのは手間ですが、省略できませんか?

A. 省略はおすすめできません。
契約者が社長個人のままでは、そもそも法人の地代家賃として経費計上する前提条件を満たさないため、税務調査で否認されるリスクが高くなります。

Q. 賃貸料相当額は自分で計算できますか?

A. 概算の目安をつかむことは可能ですが、正確な計算には建物の固定資産税評価額など個別の情報が必要です。金額を誤ると給与課税のリスクがあるため、顧問税理士に確認しながら進めることをおすすめします。

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