法人の年間税務カレンダー|会社の納税スケジュールを先読み
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「税金はいつ払う?」で慌てない|小さな会社の年間税務カレンダーと納税スケジュール

⚠️ 納税の時期になって、毎回お金の心配をしている社長へ

「税金のことは税理士に任せているから、言われたときに払えばいい」
──そう考えていませんか?

税理士に申告を任せること自体は正しい判断です。しかし、「いつ・いくら出ていくか」を社長自身が把握していないと、納税のたびに資金繰りが苦しくなります。

実は、会社の税務や給与関連の手続きは、その多くが毎年ほぼ同じ時期にやってきます。つまり、1年分を一度カレンダーにしてしまえば、「忙しくなる月」も「お金が出ていく月」も前もって読めるのです。

この記事では、小さな会社が1年間に向き合う税務・労務のスケジュールを年間図にまとめ、社長が資金と作業量を先読みするための考え方を解説します。

法人の税務カレンダーと会社の納税スケジュール


1. 会社の税務スケジュールは3種類に分けると整理できる

一見バラバラに見える会社の手続きも、「何によって時期が決まるか」で分けると、ぐっと見通しがよくなります。

種類 主な中身
① 決算月で決まるもの 法人税・地方税・消費税の確定申告と納付(決算日から2か月以内)、中間申告(期首から6か月経過後2か月以内)
② 暦(カレンダー)で決まるもの 年末調整、法定調書・給与支払報告書(1月末)、住民税の年度切替(6月)、労働保険の年度更新・社会保険の算定基礎届(7月上旬)、自動車税・固定資産税など
③ 毎月来るもの 給与から天引きした源泉所得税・住民税の納付(原則として翌月10日)、社会保険料の納付(翌月末)

ポイントは、①は会社ごとに時期が違い、②は全国どの会社も同じ時期だということです。自社の決算月によって、①と②が同じ月に重なる「危険な月」が生まれます。

源泉所得税の「納期の特例」とは:
給与を支払う人数が常時10人未満の会社が、税務署に申請しておくことで、毎月の源泉所得税を年2回(1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日)にまとめて納付できる制度。毎月の事務は減りますが、そのぶん納付時にまとまった金額が出ていきます。


2. 【年間図】3月決算・従業員5名の会社の税務カレンダー

ここでは、最も多い「3月決算・従業員5名・源泉所得税の納期の特例あり」の会社を例に、1年間の流れをまとめました。★の数は資金負担の大きさの目安です。

主な税務・労務のイベント 資金負担
4月 新しい事業年度スタート/固定資産税の第1期(多くの市町村で4〜6月頃)
5月 法人税・地方税・消費税の確定申告と納付(5月31日)/自動車税(多くの都道府県で5月末) ★★★
6月 住民税の特別徴収が新年度の税額に切替/労働保険の年度更新スタート/夏季賞与(支給する場合) ★★
7月 源泉所得税(1〜6月分)の納付(7月10日)/労働保険料の申告・納付と算定基礎届(7月10日頃まで) ★★
8〜9月 比較的落ち着く時期。9月末で上半期終了、上半期の業績チェックを
11月 法人税・消費税の中間申告と納付(11月30日、前期の納税額が一定以上の場合) ★★
12月 年末調整(12月の給与で精算)/冬季賞与(支給する場合) ★★
1月 源泉所得税(7〜12月分)の納付(1月20日)/法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告(1月31日) ★★
2〜3月 決算の着地見込みを確認し、決算対策を検討/3月31日決算日

3月決算以外の会社は、「確定申告は決算月の2か月後」「中間申告は決算月の8か月後」と置き換えれば、自社版のカレンダーが作れます。たとえば9月決算なら確定申告は11月、中間申告は5月です。

※期限が土日祝日にあたる場合は翌平日になります。消費税の中間申告が年3回・毎月となる会社や、住民税の納期の特例を使っている会社は、上記に加えて納付月が増えます。記載内容は執筆時点(2026年)の制度に基づく一般的なものです。


3. 社長が必ず押さえたい「1年の3つの山」

① 決算から2か月後は「お金の山」

法人税・地方税・消費税がまとめて出ていく、1年で最も資金負担が重い月です。3月決算の場合は自動車税も重なり、翌月には賞与や住民税の切替も控えています。利益が出た年ほど、この月の支払いは大きくなります。

② 12月〜1月は「作業の山」

年末調整、法定調書、給与支払報告書、償却資産申告と、従業員や固定資産に関する書類が集中します。従業員から扶養控除等申告書や保険料控除の書類を回収する必要があるため、11月中に準備を始めるのが理想です。

③ 6月〜7月は「給与まわりの山」

住民税の切替、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届が短期間に集中します。納期の特例を使っている会社は、半年分の源泉所得税の納付も7月10日に重なります。


4. 資金と作業量を先読みする3ステップ

ステップ1:自社版の年間カレンダーを作る
上の年間図をもとに、自社の決算月・給与の支払日・賞与の有無を反映させます。社長の手帳や社内カレンダーに書き込んでおくだけでも効果があります。

ステップ2:納税額を概算し、月割りで積み立てる
前期の納税額を目安に、年間の税金を12で割って毎月別口座へ移しておきます。

【試算例】

前期の納税額が「法人税・地方税 合計300万円」「消費税 200万円」の会社の場合、年間の納税額は約500万円。
中間申告でその一部を先に納めるとしても、毎月40万円強を納税用に確保しておけば、決算後に慌てずに済みます。

【積み立てていなかった場合】

決算後2か月以内に数百万円を一括で用意することになり、手元資金が足りなければ借入や、延滞税のかかる納付遅れにつながりかねません。

ステップ3:決算の3か月前に「着地見込み」を税理士と共有する
決算が締まってから税額を知るのでは、打てる手が限られます。決算の2〜3か月前に試算表をもとに利益と税額の見込みを出しておけば、納税資金の準備も、設備投資などの対策も落ち着いて検討できます。

【見落としがちな落とし穴】

  • 前期の業績がよかった翌年は、中間申告の納付が新たに発生・増額することがある
  • 源泉所得税の納期の特例は、事前に税務署へ申請していないと使えない
  • 消費税は預かったお金ですが、売上代金と一緒に口座に入るため、使ってしまいやすい

5. 法人の税務スケジュールに関するよくある質問(FAQ)

Q. 申告期限の延長をすれば、納付も遅らせられますか?

A. 納付期限は延びません。
定款の定めなどにより申告期限を延長できる場合でも、税金の納付期限は原則どおり決算日から2か月以内です。期限後に納付すると、延長期間に応じた利子税がかかります。

Q. 繁忙期と決算が重なって大変です。決算月は変えられますか?

A. 変更できます。
株主総会で定款を変更し、税務署などへ届け出ることで決算月を変えられます。本業の繁忙期や、資金が潤沢な時期に合わせて決算月を選ぶのも一つの方法です。ただし変更した年は事業年度が1年未満になるなど影響もあるため、事前に専門家へご相談ください。

Q. 納税資金がどうしても足りない場合はどうすればいいですか?

A. 放置せず、早めに相談することが大切です。
一定の要件を満たせば納税の猶予や分割納付が認められる場合があります。黙って期限を過ぎると延滞税がかさむため、期限前に税務署や顧問税理士へ相談しましょう。

6. まとめ:税理士任せにしない社長が資金繰りで困らない

会社の税務スケジュールは、「決算月で決まるもの」「暦で決まるもの」「毎月来るもの」の3種類。自社の決算月を当てはめれば、1年のどこに「お金の山」と「作業の山」が来るかは前もって分かります。

申告書の作成は税理士に任せても、いつ・いくら出ていくかを把握するのは社長の仕事です。年間カレンダーを一度作っておくだけで、納税のたびに慌てる状態から抜け出せます。

ふじはら会計事務所では、決算が締まってから税額をお伝えするのではなく、決算前の段階で着地見込みと納税額の目安を共有し、社長が早めに資金の準備と対策を考えられるようにすることを大切にしています。「自社の年間スケジュールを一度整理したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。


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