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個人事業主に税理士は必要?自分で確定申告する場合と依頼する場合を比較

⚠️ 確定申告を毎年ご自身で済ませている個人事業主のあなたへ

「うちはまだ、税理士に頼むほどの規模じゃない」
──そう判断したまま、何年も経っていませんか?

結論から申し上げます。個人事業主に税理士が必要かどうかは、「売上規模」と「事業の複雑さ」で決まります。売上が数百万円で取引もシンプルなうちは、会計ソフトを使ってご自身で申告するほうが合理的なケースが多いのが実情です。

一方で、売上1,000万円を超えて消費税の申告が始まったあたりから、自力で続けることの「見えないコスト」が税理士報酬を上回り始めます。この記事では、自分で確定申告する場合と税理士に依頼する場合を、費用・時間・リスクの3点から比較し、依頼を検討すべきタイミングを整理します。

個人事業主が確定申告を自分で行うか税理士に依頼するかを比較する


1. 「税理士が必要か」は売上規模と事業の複雑さで決まる

「個人事業主に税理士は必要か」という問いに、一律の正解はありません。判断するときは、次の3つの軸で自分の事業を見てください。

① 消費税の申告があるか② 取引が複雑か(在庫・従業員・複数事業・高額な設備投資)③ 自分の時間を何に使うべきか。このうち、判断を大きく分けるのが①です。

消費税の課税事業者とは:
原則として、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じます。インボイス制度の登録をした場合は、売上規模にかかわらず課税事業者となります。

所得税の確定申告だけなら会計ソフトで完結できても、消費税が加わった瞬間に難易度が跳ね上がります。課税・非課税・不課税の区分判定、原則課税と簡易課税の有利判定、届出書の期限管理など、ソフトが自動では判断してくれない領域が一気に増えるためです。


2. 自分で確定申告するメリット・デメリット

最大のメリットは、税理士報酬がかからないこと、そして自分の事業の数字を肌感覚で把握できることです。クラウド会計ソフトの精度は年々上がっており、売上先が数社・経費もシンプルという事業なら、年間数時間の作業で申告まで到達できます。

一方でデメリットは、費用ではなく「時間」と「取りこぼし」の形で現れます。慣れない方が領収書の整理から申告書の作成まで行うと、年間で20〜40時間程度かかることも珍しくありません。さらに、次のような制度は「知らなければ使えない」ものです。

【自己申告で取りこぼしが起きやすい代表例】

  • 青色申告特別控除65万円の要件(複式簿記+e-Taxまたは電子帳簿保存)を満たせず、55万円や10万円にとどまっている
  • 30万円未満の資産を一括で経費にできる特例(少額減価償却資産の特例)を使っていない
  • 自宅兼事務所の家事按分や、消費税の届出の期限を逃している

※各制度には適用要件・適用期限があります。上記は執筆時点の一般的な取扱いです。


3. 税理士に依頼するメリット・デメリット(報酬の目安)

税理士に依頼する価値は、「申告書を作ってもらえること」よりも「判断を任せられること」にあります。どの制度が使えるか、どの届出をいつ出すべきか、この経費は認められるのか——迷ったときに聞ける相手がいる状態は、事業を続けるうえでの安心材料になります。

費用の目安は、確定申告だけのスポット依頼で年間10〜20万円程度、記帳と相談を含む顧問契約で月1〜3万円+決算・申告料というのが一般的なレンジです(事業規模・記帳の状態・業種によって変動します)。

デメリットは当然ながらコストです。加えて、「丸投げしすぎて自分の数字が分からなくなる」という副作用もあります。月次の試算表に目を通す習慣がないまま任せきりにすると、資金繰りの悪化に気づくのが遅れます。


4. 【比較表】自分でやる場合 vs 税理士に依頼する場合

比較項目 自分で確定申告 税理士に依頼
直接費用 会計ソフト代のみ(年1万円前後〜) 年10〜20万円程度〜(顧問契約は別途)
作業時間 年20〜40時間程度かかることも 資料の受け渡し中心で大幅に短縮
節税の精度 知っている制度の範囲内にとどまる 適用可能な制度・届出を横断的に検討
ミスのリスク 誤りは自己責任。修正申告や加算税の可能性 専門家のチェックが入る
融資・資金調達 試算表や事業計画を自力で用意 数字の裏付け資料づくりを支援できる
税務調査 一人で対応することになる 立会い・事前準備を任せられる

5. 税理士を検討すべき5つのタイミング

① 売上が1,000万円を超えた

2年後に消費税の納税義務が発生します。簡易課税を選ぶなら、適用を受けたい課税期間が始まる前日までに届出が必要で、後から遡ることはできません。超えた年に相談するのが理想です。

② インボイス登録をした(する予定がある)

売上が1,000万円以下でも、登録すれば消費税の申告義務が生じます。経過措置を含めどの計算方法が有利かは事業内容によって変わるため、比較検討が必要です。

③ 人を雇った・家族に給与を払い始めた

源泉徴収と年末調整の実務が加わります。家族への給与は事前の届出がないと1円も経費になりません。

④ 法人成りを考え始めた

利益がいくらになったら法人化が有利かは、社会保険料の負担まで含めた試算が欠かせません。設立のタイミング次第で消費税の負担も変わります。

⑤ 税務署から連絡が来た

当事務所へのご相談で最も多いのが、実はこのタイミングです。ただし調査の連絡が来てからでは、できる準備が限られます。本来は①〜④の段階でご相談いただくのが、費用対効果としては最も高くなります。


6. 実務でよく見る「自分でやって損していた」ケース

【よくあるご相談の例】

開業5年目のWeb制作業。売上が1,200万円まで伸び、消費税の申告が始まりました。外注費が少なく経費の大半が人件費以外という事業構造でしたが、簡易課税制度の届出を出さないまま原則課税で申告を続けていました。

【結果】

試算したところ、簡易課税を選択していれば納税額を年間数十万円抑えられた可能性がありました。届出は遡って提出できないため、過ぎた年分については取り返しがつきません。

確定申告は「間違えずに出すこと」がゴールになりがちですが、税額を左右するのは申告書を書く前の「選択」と「届出」です。ここは会計ソフトが教えてくれない領域だと考えていただくのが実態に近いと思います。


7. 個人事業主と税理士に関するよくある質問(FAQ)

Q. 会計ソフトを使っていれば税理士は不要ですか?

A. 所得税の申告だけなら十分なケースも多いです。
ただしソフトは「入力された取引を集計する」ものであり、制度の選択や届出の要否までは判断してくれません。消費税が絡み始めたら一度は専門家の確認をおすすめします。

Q. 確定申告の直前に依頼しても間に合いますか?

A. 申告自体は間に合っても、節税の余地はほとんど残っていません。
使える制度の多くは事前の届出や年内の行動が前提です。ご相談は年内、遅くとも年明け早々が理想です。

Q. 費用を抑えたいので、申告だけスポットで頼めますか?

A. 可能です。
記帳はご自身で行い、チェックと申告だけを依頼する形にすれば費用を抑えられます。事業の状況に応じたご提案が可能ですので、まずはご相談ください。

依頼する時期の目安は「まだ自分でやるべき人、もう依頼すべき人。個人事業主が税理士に頼むタイミングの見極め方」で、スポット依頼と顧問契約の違いは「税理士と顧問契約するメリットとは?」で詳しく解説しています。

なお、個別の税務判断はお一人おひとりの事業内容によって結論が変わります。この記事は一般的な解説ですので、具体的なご判断は専門家にご相談ください。


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